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2010.01.16 トップセールスに挑む 『相模経済新聞8/7の記事より抜粋』
女性にとってお産は人生でいちばん大きな転機。
それまでの人生で作り上げてきたジグゾーパズルを壊してもう一度作り直すための出発点」と、
つくい助産院(相模原市津久井町又野 531-7)の長院長は熱く語る。
22歳で助産師の国家資格を取得、2年の臨床経験を経て、青年海外協力隊員としてアフリカのマラウイ共和国で活動するなどの経験を積み、開業したのは30代後半。今年で13年目になる。
「いいお産ができればいい子育てができる」という信念を支えに開院以来345人の赤ちゃんを取り上げてきた。
助産師になる動機は看護学生のころ心に刻んだ思いと重なる。
「外科も産科も経験した。外科では患者の死と向き合い、産科では人の誕生に立ち会った。人の死も誕生もかけがえのない重さがあるが、自分の一生の仕事としてだれもが喜ぶ誕生の場にいたいと思った」。
同時に、「病院での医療介入の多い出産でなく、助産師がずっと妊婦に付き添う形での自然な分娩を望んでいる女性もいるはず」と考えた上での創業。
「ひと月に1件あればいいかな」という見込みだったが、現在の年間分娩数は約40件に上る。
自然で安全な出産を助けるため妊婦の心身の健康管理に細心の注意を払い、納得のいく体位で出産してもらっている。水中分娩を望む人のために専用プールも備える。
また、畳の病室からの緑豊かな眺めと野鳥の鳴き声が妊婦の気持ちをリラックスさせ、母子同室での入院を経て100%の人が母乳のみでの育児状態で退院する。正常分娩の費用は入院5日間と退院後の自宅訪問を含めて37万円ほど。
「助産院はその人が持っている子を産む力を最大限に発揮してもらう所。助産師はそれをサポートする道案内役」という基本的な考えに沿って、マタニティや母 親のためのヨガ、マタニティブリージング(妊婦の呼吸法)、ベビーマッサージ、温熱療法、母乳相談など出産前後のケアを充実させ、ネットを通じた幅広い情 報発信にも努めている。
以前は初産でも安産の人が多かったが、今は、普通に出産することができない女性が少なくない。陣痛が来て半日たっても進まないケースもあり、「女性の体が変わりつつあるのではないか」と表情を曇らせる。
その一方、自治体ごとに異なる医療施策への不満も隠さず、「都留市や上野原市とは妊婦が五回の無料検診を受けられる契約を結んでいるが、相模原市は契約に応じてくれない。安全な出産を支えるために早急に無料検診できるようにしてほしい」と熱を込める。
妊婦の出産予定日が近づくと眠れぬ夜を過ごすが、津久井地域でただ一つの助産院を経営する長さんの願いは、「女性は痴呆の状態になっても妊娠と出産の記憶は鮮明に覚えている。
どんな人にも『あの助産院で子どもを産めて幸せだった』といつまでも思ってもらえるよう、需要がある限り頑張る」という言葉に尽きている。
(戸塚)
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